子どもが学びを好きになるコツってあるの? 配信しました | 探究チャンネルVOL.14

 

 教育ジャーナリスト中曽根陽子が、さまざまな立場で教育に関わっているオピニオンリーダーにインタビューする探究チャンネル。やりたいことを見つけて、自分らしく生きていくための探究力の育て方について、これからの教育や子育てについて、ゲストをお迎えしていろいろ伺います。

 今回は、「子どもが学びをすきになる場」スコラボ代表の前田智大さんをゲストにお迎えした2022年4月11日のVOL.14のお話をリポートします。

 

自己紹介をお願いします

 前田さんは、灘中高、MITを卒業後、「社会に大きなインパクトを残したい」「社会からのフィードバックの速い分野で起業したい」と考えました。そして、課題だと感じていた日本の教育分野で起業されました。前田さんと中曽根との出会いは、中学受験ナビの取材でした。前田さんの子ども時代から今に至る話と、教育に対する想いは、是非、こちらの記事をお読みください。

 

「教育で社会を変えたい! 灘中高、MIT卒のワカモノが作った学びを好きになるプラットフォーム」

 

スコラボとは

 スコラボは、子どもが前向きに「何かを学びたい」と思った時、「おもしろそう!」と感じたテーマを選んで授業を受けることができるプラットフォームです。少人数参加型オンライン授業なので、子どもは知りたい事をその場で質問できます。一方向の授業ではなく、インターアクティブな形式を大切にしています。スコラボを支持する保護者は、子どもが自分で選択した学びを楽しく学習することで、どんどん主体的に興味を深めていく環境を求めています。スコラボの授業は、基本的に決められたことをやるのではなく、意欲的になるような設計で、どの授業も熱量が高い状態になります。そして、子どもが何に興味を持つかわからないので、様々な授業を設定し、そこから子どもの興味関心が深くなれば、続けて学ぶ連続授業もあります。

 

子どもが学びを好きになる場 スコラボ

 

日本の教育に対する危機感

 前田さんの印象では、MITと東大の1年生の学力と比べると、MIT生が絶望するぐらい東大生の学力は高いそうです。しかし、目をキラキラさせてやりたいことに取り組む4年間を過ごしたMITの学生の方が、優秀になって卒業します。

学力だけに特化して競争が過剰になった日本の状況は危ないのではないか。

「主体性があって、学ぶ環境さえあれば、ポテンシャル(潜在能力)があると感じる」と力強くお話されました。

 もう一つの危機として前田さんがあげられたのは、偏差値教育。日本の高校生はすごくまじめで「頑張ろう」としている時に、まわりから「偏差値をあげましょう」と圧力がかかる為、心が死んでしまう。「何かをやりたい」というエネルギーがある時に、自発的な目的もなく、とにかく勉強だけをさせられている。「学びを楽しむ」「一つ楽しめることを作る」という経験が日本では、圧倒的に足りない。

 

 日本と海外で学生生活を送った前田さんのお話はとても心に響きました。

 

学びたい意欲は何がきっかけでうまれる?

 前田さんは心理学の「自己決定理論」をわかりやすく解説してくださいました。自分から勉強する子としない子の違いは、勉強に向かうきっかけが、外発的動機か内発的動機かで分かれています。スコラボでは、内発的動機付けとなる目的と興味を育むことを大切にしています。結果をだすのであれば、目的があることが大切で、興味だけを深掘ると、自己満足だけでおわってしまうことがあります。

 

 具体的に目的と興味をどう引き出すかですが、興味に対しては、子どもがイメージできるタイトルをつけるようにしています。「これ面白いからやってみな」という「面白い」の押しつけはダメ。「動画の編集を学ぶ」というタイトルではなく「YouTubeの裏側をのぞこう」とすることで子ども達が興味関心を持ちます。

 

 目的に対しては「こんな人になりたいな」というイメージが、目的を持つサポートになります。「医者になろう」など目標が職業になってしまうと、イメージがわきません。直接、その人と会って興味関心を持つことで、憧れが生じ、「こんな人になりたいな」と子どもが思うことができるシステムが、目的を引き出すために重要です。

 

家庭で出来る探究力の育て方

 保護者は先生にならず、一緒に課題に取り組む方が良いです。子どもが「わからない」というと、先生であろうとすると「わからない」と答えがちです。「どうやって調べたら良いのかな?」と学びのプロセスを子どもと共有することをお勧めします。

 

『成功する子はやりたいことを見つけている』の感想をお聞きしました

 「補足したいポイントもなく、言いたいことがそのまま書いてありました。」と力強い感想をいただきました。
前田さんが特に共感されたのは『誘導しすぎない。与えすぎない』という箇所でした。まわりが与えると、子どもは与えられたTo Do Listを消化するだけになります。こどもが自分事にするためには、子どもが自分で考えて、選択する環境を整えることが大切です。

 

前田さんからのメッセージ

 子ども達へは「自分が幸せだと思うことを突き詰めてやることを体験してほしい。そうすると、深いところまで考える癖ができます。そして、他の事も伸びてきます。」

保護者の皆さんへは「”子どもの突き詰める体験”を見守って欲しいです。対話の機会を作れば、子ども達がすきなことを見つけるきっかけになり、どうやって応援したらよいのかがわかってくると思います。」

 

中曽根陽子からのメッセージ

 「子ども達が目的と興味を持って、何か1つをとことんやってみる経験とそれを見守る親」この大切さを改めて確認しました。
子ども達は可能性をもっています。どこまでも伸びる宝物を持つこどもたちをのばしてあげたいと思います。

 

 

アーカイブと次回のご案内

 前田智大さんをお迎えした探究チャンネルVOL.14はこちらから全編ご覧いただけます。視聴された方からもコメントをたくさんいただきました。併せてお楽しみください。

 

 

 次回VOL.15は、2022年5月20日(金)20:00から、株式会社瞬読代表取締役 山中恵美子さんをお迎えして「脳の潜在能力を引き出す”瞬読”を作った塾経営者と考えるこれからの教育」をテーマにお話を伺います。お楽しみに♪

 ご視聴はこちらから。YouTubeマザクエチャンネル